理事長挨拶

更新日:2018年9月29日

日本遺伝子細胞治療学会(JSGCT)
会員並びに関係 各位

 2018年7月の理事会におきまして理事長に選出され就任致しましたので、ご挨拶申し上げます。
本学会は、1994年に日本遺伝子治療学会として設立され、この分野においては世界でも最も歴史ある学会のひとつです。私は3代目の理事長となりますが、初代理事長の浅野茂隆先生が本学会を立ち上げて日本における遺伝子治療学の確固たる地位を築き、前理事長の金田安史先生が幅広い学界を牽引し代表する機能を確立しました。2015年には学問の広がりを反映させて日本遺伝子細胞治療学会と改称しています。これまでに築かれた礎の上に、本学会は更に発展致します。
 遺伝子細胞治療は、近年、長い基礎開発時代を抜け出し、新薬が相次いで欧米で認可されており、様々な疾患領域で治療革命を起こしています。がんに対するウイルス療法、単一遺伝子疾患に対するアデノ随伴ウイルスベクター製品、重症複合免疫不全症に対するex vivo法、血液がんに対するCAR-T療法等、つぎつぎと遺伝子細胞治療製品が実用化されました。世界の巨大製薬企業を始めとする数々の企業が、創薬のターゲットを遺伝子細胞治療に向けており、開発競争が加速しています。ゲノム編集などの技術革新も追い風となり、この分野はまさに夜明けを迎えたと言えるでしょう。

 我が国は、遺伝子細胞治療開発において、世界に優る独自の最先端技術を持っています。その開発に、本学会が果たした役割は小さくありません。しかしながら、臨床開発では欧米になお遅れを取っています。我が国でも欧米でも、遺伝子細胞治療開発はアカデミア発の技術を基にしていますが、アカデミアがバイオベンチャーを活用する開発環境や、前例のない治療を初めて臨床に応用するまでの規制ハードル、基盤研究に投じられる国の研究費などに大きな違いがあります。日本の遺伝子細胞治療開発の国際競争力を高めるには、アカデミアによる臨床開発をスピーディーに前進させ、早期の産学連携が達成できる日本の環境整備や制度改革、次世代の人材育成などについて、議論を高め、取り組んでいくことが必要でしょう。

 独自の技術から生まれた日本発の遺伝子細胞治療薬も、実用化され発展する時を迎えています。一つでも多くの日本発遺伝子細胞治療製品の早い承認を達成すべく、産業界と連携し、国と協力しながら、本学会が果たす役割は今後益々重要になると考えます。学会員の皆様をはじめ、国民そして社会のニーズに答えられる学会を目指します。引き続き関係者皆様のご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

2018年9月29日
日本遺伝子細胞治療学会(JSGCT)
理 事 長 藤堂 具紀
東京大学 医科学研究所
先端がん治療分野 教授

(※) 当会名称改訂 (於・JSGT2015総会)「日本遺伝子細胞治療学会(JSGCT) Japan Society of Gene and Cell Therapy (JSGCT)」